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合戦の道 ハイキング

 1336年(延元元年・建武3年※)、後醍醐天皇が進めた建武の新政が足利尊氏の挙兵により失敗すると、後醍醐天皇の「南朝」と足利尊氏が新しく立てた天皇の「北朝」の2つの朝廷が立つ「南北朝時代」が始まった。この対立は後醍醐天皇の皇子たちや地方の武士たちも巻き込んで全国各地に戦乱を引き起こした。ここ、小郡の地で争われた大保原合戦(大原合戦)もこの中の戦のひとつである。

※南北朝時代には年号が「南朝年号」と「北朝年号」の両方あるので、レポート中の年号に関しては「(南朝年号・北朝年号)」と並べて記述しています。

武士の絵は小郡市教育委員会所蔵「大原合戦図屏風」より拝借しました。無断転載は固くお断りします。

 薄い雲が上空を広く覆い、肌を撫でる風が少し冷たく感じられる4月29日(昭和の日)、小郡市教育委員会主催・地元の史跡案内ボランティアさんが行う「合戦の道」ハイキングに参加してきました。

 

 

【受付開始から出発】

 あいにくの小雨模様でしたが、約45名の参加があったそうです。連休内の祝日だからか、小学生ほどのお子さんも数人参加していました。

 小郡市史跡案内ボランティアの方々より挨拶とハイキングについての案内がなされました。その後、準備体操としてストレッチが入念に行われました。

 

 

善風塚跡

 昔、このあたりに「小善風」といわれる4つの塚(ちいさな丘)があり、運動場の南側には「大善風」といわれる3つの塚がありました。これら7つの塚を合わせて「善風塚」と呼んでいたそうです。大保原合戦では多数の戦死者がでたのですが、中でも身分の高い武将7人はここに特別に塚を造って葬ったそうです。現在、塚は宅地整理等でなくなっていますが、大原小学校の隅にある木々が当時の雰囲気を残しています。

 

 

 

【大板井堤】

 かつて水不足に悩まされていた小郡市の一部地域では灌漑用水のために溜池が造られました。いまではその役割を終え住宅地等に転用されている溜池も少なくありません。

 

 

 

小郡官衙遺跡

 国指定史跡の小郡官衙遺跡です。小郡官衙跡とは7世紀末につくられた筑後国御原郡の役所跡のことです。約17600㎡が現在遺跡公園として活用されています。西鉄小郡駅から徒歩で数分の場所にこのような広大な遺跡があるのに驚きます。公園は保存会の方々により草刈も行われています。

大原古戦場(東町公園)

 南北朝時代に小郡市周辺地域で大きな戦いが二つありました。大保原の合戦と福童原の合戦です。ここ大原古戦場は、足利尊氏が没した翌年1359年(正平14年・延文4年)に繰り広げられた大保原合戦を記念した「大原古戦場碑」が立っています。『太平記』によると、南朝方の征西将軍 懐良親王・侍大将 菊池武光と、北朝方の少弐頼尚が戦い南朝方の勝利に終わったものとされています。大原古戦場は国道500号線に面し小郡市役所東側に位置します。場内には、古戦場碑以外にも多くの碑や墓があり歴史を感じさせます。

 

 

 

【大崎の麦畑】

 この季節には小郡の各地域で麦畑が見られます。天高くヒバリのさえずりも聞こえていました。

 ▶マウスオーバーで、パネルでの説明を熱心に聞き入る参加者の写真になります。

福童原古戦場跡

 寺福童の住宅地を歩いていくと小高い土塁上に福童原古戦場の碑がありました。ボランティアさんから、この近くに福童原合戦で亡くなった武将の塚があったと伺いました。福童原合戦は、大保原合戦以降に大宰府を制圧していた南朝方(征西府)が、幕府九州探題今川了俊に大宰府を陥落させられたことに端を発します。1374年(文中3年・応安7年)に福童原に陣取った今川了俊と、高良山に中枢機能を移した征西府との合戦についてはよく解っていないそうですが高良山に立て籠もった征西府と今川了俊の戦いが激しかったことは推測できます。

 疲れたところでボランティアの方から飴の差し入れがありました。たんへん美味しくいただきました。  

 

 

大中臣神社 将軍藤

 1359年(正平14年・延文4年)に大保原合戦で負傷した征西将軍懐良親王が、天児屋根命あめのこやねのみことの加護により全快したため奉納されたと言い伝えられる藤の大木です。1970年(昭和45)に福岡県の天然記念物に指定されました。広さ500㎡の藤棚から垂れ下がる淡い紫色の花からはほんのり良い香りがしました。

 

 

参加者の方より感想をいただきました(^^)

 

◆最終地点の大中臣神社で「藤まつり」が開催されていて、露店もありました。藤まつりも楽しめて良かったです。

◆参加者の質問に丁寧に答えていただきました。よく勉強されていると感じました。

◆普段、何気なく眺めている風景にも多くの歴史が残っているのだと思いました。

◆高良山を見る時に、「歴史」という新たな視点が加わりました。

◆全体的に歩く速度がちょうどよかったです。説明もよかったです。

 

 

 

参 考:合戦の道ハイキングマップ(©2014 Google, ZENRIN)