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上岩田 注連ねり(人形じめ)

  朝が肌寒くなってきた平成26年10月19日の日曜日に上岩田にある老松神社で「人形じめ」の行事が行われました。私たちが老松神社に到着した7時半過ぎには境内に青色のビニールシートが敷かれ、公民館では直会の準備がすでに行われていました。

 小郡市史第3巻に、この人形じめは「江戸時代から伝わる行事で、収穫したばかりの新藁で上岩田宮座(総代)の人たちを中心に作られる。筑後地区の神社はもちろん全国どこにも同じような形のしめ縄はない。」と記載されています。

 どのように作られているのか期待が高まります。

  境内には氏子の方々が、受付を通して、藁束を献上したものが山積みになっていました。この藁で人形じめの長縄を作っていきます。長縄は大注連で7本を使います。中小注連について3本を使います。それぞれその本数を使い人形じめが作られます。

  午前8時を過ぎた頃から、大注連をなうための設備の組み立てが始まりました。写真左の大木を利用して、篝火の脚部のように組まれた3本の木と、大注連を吊るす横棒で大注連を作る工程をおこないます。

  準備が整い氏子の男性陣が、ブルーシート上で長縄の作成をグループに分かれて始めました。一年に一度の祭礼で、しかも複雑な作り方なので、参加された方々は、力と知恵を出して、大変そうでした。しかし、楽しそうで、どのグループも笑顔が絶えませんでした。

 大注連の作業はかなり印象的でした。映像でご案内します。

 

  大注連を綯う(なう)際に、結合部分に塩をつけるのは、お浄めの意味があるのかもしれません。ご年配の方が、若手に指導する風景は地元の絆を感じました。

 

  一方、地区の女性は境内横の公民館で直会の準備をしていました。直会の食事はお弁当です。その他に公民館で漬けておいた菜っ葉もあります。

  女性が準備するものは、おこくと菜っ葉の漬物と味噌汁です。おこくとは、おにぎりのことで「おこくさん」と呼ばれます。その形は卵型であり、それは昔から決まっているそうです。「おこくさん」は神事の時に、おたまのような注連にはめ込んで、神前に奉納します。「おこくさん」をはめこむ注連縄は、最後家に持ってかえるそうです。

  尚、この日は基本的に女性は公民館から出ないとのことでした。神事が女人禁制なのかもしれません。

 10時くらいになると大方の作業が終了しました。写真は中小の人形じめです。

 こちらは大きい人形じめの完成直前の写真です。

 12時くらいに神官が到着し祝詞をあげました。その後、座元さんたちもブルーシートの上にあがり、三拍子などが行われた後、直会が始まりました。

 翌々日の火曜日に境内にお邪魔したところ、大きな人形じめは拝殿に、中小の人形じめは境内の岩に祀られていました。ここ老松神社周辺には古墳も存在しており、神秘的な雰囲気でした。

 なお、人形じめは次の神事まで祀られています。

 

▼上岩田 老松神社 地図

アクセス

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