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歴史や古建築についてのシンポジウム
 令和元年(2019)11月17日(日)旧松崎旅籠油屋主屋2階で『秋月街道シンポジウム「江戸時代の旅を探る~旅籠油屋の復原~」』と題したシンポジウムが行われました。
 午前中に公益財団法人文化財建造物保存技術協会の東坂先生による基調講演が行われました。お昼休みをはさんで、午後からは立場茶屋銀杏屋の堀江会長、秋月街道ネットワークの佐々木会長、当会の磯部理事長より、各団体の文化財保護と活用に関する事例報告が行われたのちに、東坂先生と油屋復原に携わった古賀さんによる現地説明会が行われました。
 各方面の方々のご協力により主屋2階に用意した座椅子では足りなくなるほどの人があつまり、シンポジウムは盛会でした。参加者は60名以上に達しました。
 
 司会者の小郡市の歴史を守る会野瀬事務局長より、東坂先生の経歴紹介が行われました。先生が今まで設計監理したおもな文化財は、国宝観心寺金堂・建掛塔(大阪)、国宝善光寺本堂(長野)、国宝厳島神社本社本殿・能舞台他災害復旧(広島)、特別史跡熊本城跡西出丸一帯・飯田丸五階櫓等復元監理(熊本)、国宝不動院金堂・重要文化財鐘楼(広島)、重要文化財善導寺大庫裏他7棟(福岡)、重要文化財高良大社本殿・幣殿・拝殿(福岡)などです。国宝や重要文化財に携わってこられた方に旧松崎旅籠油屋も復原をお願い出来たことは光栄なことだと思います。
 
<東坂先生の講座の内容>
 
 木の年輪の話しからはじまり、古材の重要性・誰の為に文化財を守るのか・建物を守る前提として物事を考えることの必要性など、お話は多岐にわたりました。
特に印象に残ったお話は
『文化財の修理というのは破壊を伴う行為で罪深いこと。根底には罪の意識がある』
『それでも修理を行うには文化財を愛さなければならない』
『愛するものに嫌われることはしない』
『建築の寿命は見た人の視線の数で決まる』
などです。ほかのお話にも先生の深い知識と知恵が含まれていました。
 講話の後に質疑応答が行われました。今回はいつもよりも大勢の方が東坂先生に質問されました。その質問も熱が入ったものでした。また、実務を担われた小郡市の古賀一級建築事務所の古賀さんによる説明も行われました。
 
 
<パネルディスカッション>
 
 昼食をはさんで午後1時からパネルディスカッションが行われました。パネリストは、秋月街道ネットワークの佐々木会直子さん、立場茶屋銀杏屋 管理運営委員会の堀江日出男さん、小郡市の歴史を守る会の磯部冨士男さんです。
 立場茶屋銀杏屋には年間で約七千人程度の来訪者があるそうです。旧松崎旅籠油屋と同じように「ひな祭り」の時期に、一番来訪者が多いそうですが、その他にも色々なイベントを企画運営されているお話が非常に興味深かったです。